「ぼくらのスタートアップライフ」 スタートアップ会員企業でインターンする学生にインタビュー! 第3弾/株式会社セラピア 中山 莉緒さん
「想いと技術でつぎの未来を共創する場」をコンセプトに掲げるSUMIDA INNOVATION COREでは、「起業」に興味を持つ学生たちと集う企画「ぼくらのスタートアップライフ」を、これまで2回実施してきました。
今回はその特別版として、スタートアップ会員企業にインターンをしている学生へインタビュー!現在の企業に関わるようになったきっかけや、実務内容、今後の展望にいたるまでお聞きしました。
全3社、3名の方にお聞きした本シリーズは、3回に渡ってレポートとしてお届けします。
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インターン先:株式会社セラピア
中山 莉緒(なかやま りお)さん 大学2年
現在、文学部人間科学専攻に所属されており、学部内では社会学と、心理学も学ばれているそう。また、大学内他学部の研究室にてマウスを使用した摂食障害の研究も行っているとのことです。さらに精神医学やその文化的文脈、人々のライフコースや社会的構造から心身の健康にアプローチする疫学にも関心があり、他大学の研究室にて疫学を学んでいるそうです。
―なぜ今の会社をインターン先として選んだのでしょうか。
小学校6年生の頃に自身の経験と重なった面もあり、アフリカ大陸における栄養課題に関心を持ちました。その後さまざまな日本国内での経験と活動を経て、高校生の頃に、飢餓だけでなく過栄養の問題もすぐに浮き上がってくるだろうと考え、リサーチをしていました。そこで、DOHaDという理論に出逢いました。その理論によれば、栄養問題、貧栄養や過栄養以前に、環境や母親の精神的な問題が深くかかわっているとの事でした。
ここで、精神的な問題、すなわち、心の健康は人の健康を考える上で、初歩的なステップであると考えるようになりました。栄養以前に精神的な課題であるならば、アフリカではどうなのか、どう捉えられているのかと考え、自身の訪れた国、ケニア共和国にてまずヒアリングしてみようと考えました。
ナイロビ大学を訪問したときにうつ病などをどのように捉えているのか問うと、「(うつ病が)ある人もいるが、外部へ口に出せる(語れる)ケースが少なく、そもそも精神病院も大きくて有名なものは都市部にはあるけれど、農村部にはまず、ない」とのことでした。
ここで、自身で口出しの出来る、と言っても文化的な文脈を変えるには多大な時間がかかる為、手軽にできるもの。そう考えた際にアプリケーション、という方法に行きついたわけです。現地ではスマホ2台持ちの人もいるんですよね、都市部では。
日本帰国後、はじめに行ったLife science Start Up Career Fair 2024にて、セラピアの社長(田中さん)に会った際に、うつ病対策の予防アプリ制作の話があり、自身の考えに近いと思いました。日本も精神疾患が多いですし、まずはここでインターンしてみようと思ったのが、きっかけです。
―実務ではどんなことをしていますか。
セラピアの中ではDX分野そのものには関わっておらず、アプリ企画の初期段階に関わっているという状況です。私たちの目標として、エビデンスのある医療予防機器を世界に発信していきたいという思いがあります。予防医療は軽視されやすいと感じています。そのため、アプリの機能をつくるためにさまざまなエビデンスを集めることが必要です。うつ予防の論文は治療に比べれば少ないです。そのため、治療の方も参考にしながら、アプリにどんな要素や機能が必要かを、定期的なミーティングで話し合いを進めつつ、並行してエビデンス収集を進めています。
アプリとしては1年くらいで形にするつもりで動いているものの、DX方面の業務で顧客を抱えているため、かかる期間が少し長くなりそうです。企画の詰めの部分を今しっかりやっておかなければならないと思っています。
―インターン業務はどのようなスケジュールで稼働されていますか。
担当する事業にかかわっているメンバーは、社長含め3名です。
昨日も精神科医とお話してきたところでした。社長も専門ではないので、精神科医など現場の意見が機能拡張には必要であり、そういう方とのお話を大事にしています。まだプロジェクトは進みだしたばかりで、2か月ほどは在宅作業メインで進めていました。この(インタビュー時点の)7月からは打ち合わせや専門機関への外出など少し動きが出てきています。学生なので学校のスケジュールを主にしつつ、不定期のミーティング(数時間)に合わせて業務を進めるなどしています。
―今の経験を、これからどのように生かしたいですか。
最終的に私がたどり着きたいのは、幼いころから関心のある「アフリカ」にかかわることです。アフリカは一部を見れば発展途上ですが、成長が急速な分、やはり精神疾患を抱える人も増えています。皆さんのアフリカに対するイメージとは多少異なるかもしれませんが、自殺率も高く、日本の過去とも似ていると感じています。
アフリカでのうつに限らない精神疾患の予防や、それに関する対話の重要性について形にしていきたいという思いがあるので、まずは日本で、セラピアに限らず様々な場所で取り組んでみて、いずれはアフリカの地で形にすることができたらと考えています。
また、業務を通じて社長と対話する場面も多く、「組織を動かす」ということにも興味が高まっています。所属する学生団体では副代表を務めていますが、学生団体と企業、それぞれを回していくときの違いも面白さもあると感じています。それを踏まえ、自分のやりたいことを実現していく形の一つとして、起業も選択肢に入るのではと思い始めました。社長にも、起業に関連することも聞くといろいろ答えてもらえ、そのような経験が自分の考え方を少しずつ変化させているように思います。
大手企業への就職も魅力はあると思いますが、想いを実現するために挑み続けるスタートアップには可能性を感じますし、そこで働くことで、自分の中にある心の火を消さず、燃やし続けられるのではと思っています。
代表取締役 田中 圭さんよりコメント
株式会社セラピアについて
“全ての挑戦者が「主役」になれる社会を実現する”を掲げ、世界中のノーコード技術を活用したDX人材育成教育、システム受託開発、およびITシステムの自社開発を行う。「DXを始めたい」「DXに興味のある」中小企業を中心にDXに関する事業相談や新規事業創出の支援が可能であり、人材教育、経営戦略立案(DX戦略含む)新規事業創出、薬事関連対応などを得意領域としています。